2Fは黒砂を敷き詰めたバーコーナー。3Fはウブドの街を一望する360度パノラマビュー。お料理は、陽気なイタリアのマンマの味!!
こんにちは、バリ島ナビです!
ウブドのハヌマン通りにちょっとユニークなイタリアン・レストランがオープンした、と聞いたのは2008年のこと。実はウブドというところ、今まで圧倒的に「イタリアン」が弱い地域でした。和食もフレンチもインド料理もタイ料理もあるのですが、なぜか「イタリアン」のお店がない。ピザに限っていえば食べられるところもあったのですが、「イタリアン」となると、サヌールやスミニャックあたりまで行かなければいけない状況が続いていました。
そんなウブドに登場したイタリアンレストラン「ブラックビーチ」。ここがなぜ「ちょっとユニーク」かといえば、まずそのロケーション。ハヌマン通りに位置するこのお店はなんとウブドには珍しい3F建て。1Fがブティック、2Fと3Fがレストランになっているのですが、2Fのバーコーナーには一面黒砂が敷かれ、まるで海沿いのバーのような雰囲気。そして3Fは四方がオープンエアーで、つまりウブドの景色を360度のパノラマビューで楽しめるつくりになっているのです。高いところから見下ろすウブドの町並み、今まで見たことのなかったウブドが楽しめちゃうんですね。
このお店を始めたのは生粋のローマっ子であるアントネッラ・デ・サンティスさん。アントネッラさんのだんな様はバリニーズです。
「最初はバリ舞踊を習うためにバリに来たの。その頃はまだローマの学生だった。でもバリに来て、最初の目的であるバリ舞踊だけじゃなくて、文化だとか、この島の人たちだとか、この島の持っている雰囲気が大好きになってしまったの。もちろん、彼のこともね。」
そしてアントネッラさんはバリ人のだんな様と結婚し、バリで暮らし始めます。
「よく家で料理を作って、友達を呼んで振舞ったわ。そのたびにみんなに言われたの。なんでレストランをやらないんだ!?って。レストラン?冗談じゃないわ、そんなもの始めちゃったら忙しくなっちゃうじゃない。絶対にいやよ!って思ってたんだけど・・・」
数年前からアントネッラさんは洋服やジュエリーのデザインを始めました。そして、自分の作った作品を売るためのお店をウブドで探していた時に見つけたのが、現在「ブラックビーチ」のあるハヌマン通りのこの店舗。「3F建てはいくらなんでも大きすぎると思ったから最初はあきらめたの。3Fまで洋服を並べるほどの規模じゃないもの。でもね、この3Fからの景色に惚れ込んじゃったのね。ほかのどんな店舗を見ても、どうしてもここを思い出しちゃう。だったら、って考えたのよ。1Fをショップにして、2Fと3Fをレストランにしたらどうだろう、って。」そして誕生したのが、「ブラック・ビーチ」だったというわけ。でもなぜ、「ブラック・ビーチ」?
「深い意味はないのよ。よく旅行者が言うでしょ、ウブドにはビーチ以外のなんでも、すべてがある、って。文化、自然、おいしい食べ物、信仰心にあふれたフレンドリーな人々。ここにないのはビーチだけだ、って。そういうことを言う人がよくいるから、それじゃビーチも作ってあげようかな、って思ったの。」
アントネッラさん、迫力ある外見とはちょっと違って、結構お茶目な人とお見受けしました。
「私の夫はスカワティという村の出身で、そこにはパンタイ・プルナマというビーチがあるの。訳せば、フルムーン・ビーチよね。ロマンティックでしょ。そのビーチは黒砂でね。それが不思議なの。その黒砂が夜になって月の光を受けるときらきらと輝きだすの。ロマンティックで、とてもステキ。だから村にお願いして、そのビーチの砂を少しいただくことにしたの。そして2階に敷き詰めたのよ。」
打って変わって3Fは360度のウブドビュー。田んぼの景色や渓谷の景色を売り物にするレストランは数多くありますが、「ウブドの街」を上から眺められるレストランなんて今までありませんでした。もちろん日暮れ時にはサンセットも楽しめます。街中にいながらにしてサンセットを眺められるレストランというのも貴重です。実はバリもこのお店大好きで、よくサンサットタイムに訪れるのですが、何度行っても夕焼けが西の空を染めていく様子を見るとカメラを取り出さずにはいられません。
さて、お料理についてもアントネッラさんにお伺いしました。
「料理は私の母のレシピが元になってるわ。母の作ってくれた、子供の頃から私が毎日食べていたイタリアの味。ニョッキ、ラザニア、トマトソースもペストソースも、みんな私の母の味よ。」
では、イタリアのお母さんの味、「ニョッキ・ウィズ・トマトソース・アンド・パルミジャーノ」(2万7000ルピア+15%)をいただきます。
トマトソースの赤とフレッシュバジルの緑が目にも楽しい、きれいな一皿。太陽をしっかり浴びたトマトの甘みとバジルのさわやかな風味がニョッキにからんで口の中いっぱいに広がっていきます。まさに「イタリアのマンマの味」を、「イタリアの幸せな子供」になった気持ちでいただきます!!
「バリで手に入る材料はできるだけバリで調達するようにしているわ。でもどうしてもバリで手に入らないものもあるの。たとえばヤギのチーズ。メニューにはシープ・チーズと書いたけど、イタリアではペコリーノというの。これはバリでは手に入らない。だからイタリアン・レストランでもペコリーノの替りにパルミジャーノを使っているところがほとんどだけど、でも、ほんとはペコリーノじゃないとだめなのよ。だからね、私、イタリアから友達が来る時にいつも大量に頼んで持ってきてもらってるの。というわけでウチはイタリア直送のペコリーノを使ってるのよ」
なんと贅沢な!!ということで、その「ペコリーノ」を存分に楽しめるメニューを2品。「スパゲティ・カルボナーラ」(4万9000ルピア+15%)と、まさにこのペコリーノのスパゲティともいえる「スパゲティ・カシューペペ」(5万5000ルピア+15%)。
カルボナーラの上にふりかけてあるのがペコリーノ。確かにパルミジャーノに似ていますが、よく味わってみると、パルミジャーノよりも複雑な味わいがあるような・・・カルボナーラは日本だと生クリームを使用してこってりと仕上げるところが多いのですが、本場イタリアのカルボナーラレシピはもっとシンプル。チーズと黒胡椒、そしてベーコン、それにオリーブオイルで実にさっぱりといただけるスパゲッティです。ペコリーノのスパゲティともいえる「スパゲティ・カシューパパ」は刻んだペコリーノと黒胡椒がたっぷり。塩味のきいた複雑な味わいのペコリーノの風味をたっぷりと堪能できるおススメのひと品です。
実はナビ、以前からここ「ブラック・ビーチ」のピッツァが大好物なんです。ぱりぱりの、これ以上はムリというまでのクリスピー。ピッツァというより、「餃子の皮焼きましたか?」みたいなカリカリ加減で、どんどん手が伸びる。「一番人気なのはプロシュート(モッツアレラとハムのピッツァ、5万9000ルピア+15%)、カプリチョーザ(モッツァレラ、トマトソース、ハム、卵、マッシュルーム、ブラックオリーブ、ケッパー入りのピッツァ、6万ルピア+15%)かしら。日本人はシーフードが好きみたいで、日本人にはマリナラ(トマトソース、小エビ、はまぐり、ツナ、ケッパー、オレガノ入りのピッツァ、3万9000ルピア+15%)も人気があるわ」。ではアントネッラさんおすすめ、「一番人気」という「プロシュート」をいただいてみます。
いかがです?写真からでも「ぱりぱり具合」伝わってきませんか?たっぷりモッツアレラチーズと塩味がきいたハムの組み合わせはシンプルだけど飽きない組み合わせ。あっという間にすべてのお料理を平らげて、ナビ、幸せ・・・
でもアントネッラさん、イタリア料理を食べたこともないバリ人たちにイタリアのマンマの味を教えるのって、大変じゃありませんでした?
「そんなことないわ。バリ人はみんなとっても頭がいいと思う。ただ、食べたことのない味を作るわけだから、そりゃじゅうぶんに練習しなくちゃいけないわ。だからウチもオープンした時はこんなにたくさんのメニューはなかったの。じゅうぶん教えて、これでよし、となったものしかメニューには入れないようにしているわ。だからね、逆を言えばこれからもメニューはどんどん増えるのよ。」
確かに。ナビがこの取材を行ったのは2010年3月のこと。この時、1月にはメニューになかった「スープ」が6種類、メニューに新しく加わっていました。これからも「ブラックビーチ」どんどんおいしいメニューが増えていくんでしょうね。
ウブドのユニークなイタリアンレストラン「ブラックビーチ」。これからがいっそう楽しみなお店。「なんでレストランをやらないんだ?」とお友達に言われ続け、「そんなもん始めちゃったらあたし毎日忙しくなっちゃうじゃないの?絶対いやよ!」と言い続けてきたというアントネッラさん。でも今、彼女はこう言います。「レストランを始めることは私の運命だったと思うの。」どうぞこれからも、ウブドでおいしいイタリアのマンマの味、守り続けて行ってくださいね!ナビも楽しみにしています!!以上バリ島ナビでした。