レストランでは味わえない、バリの家庭料理。料理上手なお母さんが作る、正真正銘バリの「おふくろの味」。
こんにちは、バリ島ナビです。
バリに旅行に来たからには、「バリ料理」が食べたい!と思っているアナタ。レストランで「ナシゴレン」や「ミーゴレン」を食べて、満足していませんか?
どんなガイドブックにも載っている「ナシゴレン」「ミーゴレン」は、もちろんバリでもポピュラーなお料理ではありますが、バリの人たちが毎日ナシゴレンやミーゴレンを食べているわけではありません。それではバリの人たちが毎日おうちで食べているような、正真正銘バリの味を食べてみたい、と思ったら、どこへ行ったらいいのでしょう。実は、「正真正銘バリ料理」を提供するレストランというのは、実はとても数少ないのです。たいていのレストランは、旅行者向けに欧米料理を提供するところが多く、いくつかのインドネシア料理メニューは、ナシゴレン、ミーゴレン、ピーナッツソースでいただく焼き鳥サテなどのごく限られたメニューのみ。バリの人たちが毎日食べているようなお料理を味わいたいと思ったら、ローカルの食事処「ワルン」というものがありますが、ヘビーリピーターにならない限り、旅行者にとってこれは、衛生面、言葉の面、越えるべきハードルがちょっと高い。それでもバリ料理が食べたい!と思ったら、勇気を出してローカルワルンへいくか、それともバリ人のお友達を作って、彼もしくは彼女のおうちにお招きでもしてもらわない限り、旅行者にとっては「バリ料理」は幻と終わる食べ物なのでしょうか。
ゴウタマ通り
ウブド大通りを市場から東へ向かい最初にぶつかるゴウタマ通りにある「ワルンビアビア」は、そんなアナタの期待にこたえてくれるお店です。ここは、料理上手なバリ人主婦が作る、正真正銘バリのお母さんの味をいただけるお店なんです。
ゴウタマ通りは小さな通りですが、民家の続く通りの中、ぽつぽつと個性的なレストランやショップが軒を連ねる、散歩に楽しい通りです。ウブド大通りのレストラン「ノーマッド」の角を曲がり、ゴウタマ通りに入りましょう。お供えものを捧げる主婦の姿、走りまわる子供たち、そして時おり通りに飛び出してくる鶏。そんなバリ人の普段の生活を眺めながらしばらく歩けば、左手に、「ワルンビアビア」が見えてきます。
「ワルン」と名前はついていますが、心配することはありません。店内は、木造りの「ロッジ風」。ストリートウォッチングができる窓際のテーブルから、あたたかい木のぬくもりを感じられるカウンター、そして時折塀の向こうから、裏のおうちで子供たちが遊びまわる声が聞こえてくる奥のテーブル席。ウブドの街中にいながらにして、思わず時間が止まったかのような、静かな雰囲気に満ち溢れているお店です。日本語メニューもありますので、言葉の心配もクリア。
お料理を担当するのはみんな現役の、バリの主婦たち。その中でも中心的な役割を果たしているのが、ワヤン カルニさんです。ウブド近郊プネスタナン村出身のカルニさんは、村でも評判の料理上手。そんなカルニさんのレシピから、「ワルンビアビア」のお料理は生まれました。
「最初は、こんな普通のバリの料理を、お店に出して、それでお客さんが来てくれるなんて考えてもみませんでした。」とカルニさんは言います。「だって旅行者はみんな、サンドイッチとかピザとか、そういったものが好きなんだと思っていたから。でもある時、バリの料理を食べてみたいという旅行者がいて、それまで母や祖母から教わりいつも家で作っているような料理を作ってみたら、とても喜こばれました。そして、このお店のコンセプトが決まったんです。」
カルニさんのお話は続きます。「バリのお料理を食べたければ、ローカルのワルンに行けばいい、と言いますけど、バリにはじめて来た外国人は、なかなかバリ人がいくようなローカルのワルンには、入りづらいですよね。私たちバリ人だって、時には『このお店、お皿をちゃんと洗っているのかしら』なんて考えてしまうようなお店もあります。バリ人だってお腹を壊したりすることもあるんです。だから旅行者の人たち、はじめてバリに来た人たちが、ワルンではなくて清潔なレストランで食べたい、と思うのは当たり前のこと。そんな旅行者の皆さんにも、安心して、私たちが普段食べているようなものを食べてもらえるように、と、このお店を始めたんです。」
メニューに並ぶのは、「レストラン」ではついぞ目にしないような、バリの素材を使った珍しいバリ料理の数々。ひとつひとつが少なめの盛り付けで出てくるので、何品か組みあわせて、自分好みのナシチャンプル(ご飯とおかずの盛り合わせ定食)を作るのがオススメとのこと。
それではワルンビアビアの人気メニューをご紹介いたしましょう。
ソトアヤム。インドネシアではポピュラーな、鶏のスープです。ニンニクと、揚げた赤たまねぎのスライスが鶏ダシのスープに深みを出しています。もやしとセロリの葉っぱが爽やかな風味、ビーフンもたっぷりはいって、満足度の高いスープです。
続いて、サテ・アズム・バビと、サテ・リリッ・アヤム。イスラム教徒が大部分を占めるインドネシアの中にあって、ヒンドゥー教徒の島バリでは、豚肉が食べられます。サテ・アズム・バビは、豚肉の串焼きピーナッツソース。ちょっと甘めのピーナッツソースをたっぷり添えて。サテ・リリッというのは、肉をたたいてつくね状にして焼き上げた串焼きのこと。アヤムは鶏のことですから、サテ・リリッ・アヤムというのは、鶏のつくねの串焼き。炭火で焼いたつくねは、香ばしくてビールのお供にも最高!!
アヤム・サンバル・マターとイカン・ペペスです。サンバル・マターというのは、生の赤たまねぎとにんにく、唐辛子でつくった、バリ料理の定番ソース。どこのおうちでも、食卓にはいつもこの、サンバル・ マターを用意してある、と言っても過言ではないくらい、バリ人みんなが大好きなソースです。揚げた鶏肉にこの、サンバル・マターをたっぷりとまぶしたアヤム・サンバル・マターは、バリの家庭料理の代表と言っていいでしょう。イカン・ペペスはイカン(魚)をバナナの葉っぱで包んで焼き上げた魚料理です。バリ風ソースと一緒に包まれたお魚。バナナの葉っぱを開けば、立ち上げるスパイスの香りが、これも食欲を刺激する一品です。
お次は、テンペ・マニスとベジタブル・ラワール。テンペというのは、大豆を発酵させて板状にしたもの。これを棒状に切り油で揚げ、さらにちょっと甘いお醤油味で味付けしたものが、テンペ・マニスです。いわば「甘辛醤油味」これは日本人の味覚にぴったり。かりかりに揚げたテンペの食感も楽しいお料理です。ラワールというのは、おろしたココナッツのフレークの和え物のこと。ベジタブル・ラワールは、野菜とココナッツフレークのあえものです。薄味で、あっさりと食べやすいヘルシーな野菜料理です。
サユール・プレチン・サンタンと、ブレグデル・クンタン。サンタンというのはココナッツミルクのこと。サユール・プレチン・サンタンは、いんげんのココナッツミルク煮です。ほんのりココナッツの香りがエスニック。クンタンとは、じゃがいものこと。ブレグデル・クンタンは、ほんのり優しい味のバリ風コロッケ。子供たちの大好きなメニューです。
デザートは、これもお母さんの手作りおやつのあれこれが揃っています。ブブール・インジンは、黒米のおかゆ。小豆とココナッツミルク入りのほんのり甘いお汁粉風おかゆです。クレポンは、黒砂糖のシロップが中に入った餅団子。まわりにココナッツのフレークがまぶしてあります。中にはとろりとした黒砂糖の蜜がたっぷり。噛み付くと、蜜が飛び出ることがありますので、ひとくちでいただきましょう。パイナップルパンケーキは、パイナップルの蜂蜜煮をクレープ状のパンケーキで包んであります。よく熟したパイナップルの酸味と蜂蜜の甘さ。どれも素朴なお菓子ですが、バリのお母さんの愛情がしっかりこもっていますね。
料理教室も開催
ワルンビアビアでは、料理教室も開催しています。ビアビアのメニューから、お好きな三品を選んで作り方を教えてもらいます。バリのお母さんの味を習ってみるのも旅の思い出になりますね。希望する方には、朝、市場へ買い物に行くところから一緒に参加させてくれるそう。料理教室は希望に応じて毎日午前10時から11時の間で行います。できれば前日までのご予約をお願いいたします、とのことでした。(費用ひとり15万ルピア)
最後に特筆すべきことがひとつ。実は、めったに味わえない正真正銘のバリ料理を味わえる「ワルンビアビア」のお料理は、どれも辛さ控えめなんです。「外国人の方は、バリ人と同じレシピで作ってしまうと、召し上がれないほど辛い、とおっしゃる方もいらっしゃいます。中には何度もバリにいらしていて、ローカルワルンも大丈夫、バリ料理が大好きなんだけど、辛いのだけがどうにも慣れなくてお腹を壊すこともある、という方もいらっしゃいます。私たちは、そういった方たちにもバリ料理を楽しんでいただけるように、辛さを感じるスパイスを控えめにして、料理を作っています。ですから、辛い料理が苦手で、バリ料理に挑戦するのをためらっていた方たちにも、ぜひ楽しんでいただきたいと思いますね。」と、カルニさん。これからも旅行者のために、おいしいお料理を作ってくださいね。
ちょっとディープなバリに触れてみたいアナタ。ローカルワルンに挑戦する勇気はまだないけれど、バリの人たちが普段食べているようなお料理に、興味があるというアナタ。「ワルンビアビア」で、バリのお母さんの手料理を食べてみましょう。
以上バリ島ナビでした。