ウブド散策の途中で立ち寄りたい、きらりと光る個性的なメニューがリピーターに人気のカフェ。
こんにちは、バリ島ナビです!バリは一年中暑い常夏の島。だからバリの人たちは日の出前には起きて一日の仕事を始めます。そして暑い暑い昼間は日陰でのんびりお休み。とはいえ、旅行者はそういうわけにもいきません。どんなに暑くても、お買い物もしなくちゃ、観光もしなくちゃ。でもちょっと待って。強い日差しの中を歩き回るのはそれだけで体力を消耗するもの。汗もかきます。水分補給をお忘れなく。ということで、今日はウブド散策の途中で立ち寄るのに絶好のロケーション、おいしいコーヒーやスイーツで疲れたカラダを生きかえらせてくれる、ステキなカフェをご紹介しましょう。
ウブド観光の中心といえば、王宮前から南に伸びる、モンキーフォレスト通り。「猿の森」モンキーフォレストへ向かうこの通りは、左右にお土産物屋さんやカフェ、レストランが立ち並ぶ、ウブド一番のにぎやかな通りです。そして、石畳が続くこの通りの中ほどに、休憩するのにぴったりの、カフェ「アンカサ」があります。
モンキーフォレスト通りを南下すること、しばらく。左手に、コーヒーが誘うアンカサのオレンジ色の看板が見えてきます。看板の手前の小さな小道を左に折れて、石畳をそのまま進めば、オレンジ色の壁とどっしりとした木のカウンター、コーヒーの香りがそこまで漂ってきます。
1990年代のはじめ頃、ウブドには、ドリップしたコーヒーを出すお店は皆無でした。コーヒーといえばそれはすなわち「バリコピ」。これはコーヒー豆を粉のように細かくパウダー状に挽いたもの。それにお砂糖とお湯を加えかき混ぜて、しばらく待って上澄みを飲む、というスタイルです。ちょっとぬるくてどろりとしたバリコピは、慣れてくると確かに、暑いバリにはぴったりの飲み物とも言えるのですが、でも日本人ならばやっぱりきりりと冷えたアイスコーヒーが恋しい。コーヒー党ならば、夏でも、苦味と香りがたった熱いドリップの一杯が恋しい。
そんなニーズに答えて、というのでしょうか。1990年代の後半になると、ここウブドでも、ドリップコーヒーを出すお店が次々とオープンしていきました。そのほとんどはマシンを使ったもので、マシンの使い方を覚えれば、ドリップコーヒーというものを知らないバリ人でもおいしいコーヒーが淹れられるようになったのでした。
しかしそんな中、オープンして10年以上になる「アンカサ」はマシンを使わず、一杯一杯丁寧にドリップで淹れてくれます。香りがいっそう引き立つ「アンカサ」のドリップコーヒー。このコーヒー豆は厳選のインドネシア産(バリ産、スマトラ産、スラウェシ産の五種類)の豆を、備長炭と椰子の殻から作った炭で自家焙煎しているのだそうです。
薫り高いドリップコーヒーもさることながら、ここのアイスコーヒーは苦味がきいた大人の味。しかもうれしいことに、氷まで、コーヒーで作ったものを使用しています。氷が解けても水っぽくならない、いつまでも苦味が嬉しいアイスコーヒー。
コーヒーが苦手、という方もご心配なく。「アンカサ」にはコーヒー以外のドリンクメニューも豊富です。人気のメニューをお店のスタッフに尋ねたところ、「ミルクシェイクやラッシー」」という答えが。ストロベリーミルクシェイク、チョコレートミルクシェイクなどの定番もののほかに、バリならでは「マンゴーミルクシェイク」「パパイヤラッシー」なんていうのもあります。もちろん、トロピカルなフルーツをふんだんに使ったフレッシュジュースも各種取り揃えています。
さて、コーヒーブレイクのお供に、ちょっとしたスイーツがあると、いっそう嬉しい!「アンカサ」のスイーツは「オトナ好みの味」です。どこか懐かしい味わいのプリンは卵たっぷり。それでいて少しもしつこくなくて、つるんといただけてしまいます。チョコレートケーキ、チーズケーキ、フレンチトースト、横にちょっと添えられた生クリームも、甘さ控えめ。「アンカサ」のスイーツとコーヒーでのブレイクタイム。昼間のウブド散策にはセットで覚えておきましょう。
が、しかし。「カフェアンカサ」は、昼の顔だけではありません。今年から営業時間をずっと長くして、「ウブドの夜」にも楽しめるお店にしたい、とは店主の弁。
バリの地酒である「アラック」と「ブラム」。アラックは椰子の蒸留酒。ブラムは米の発酵酒です。「アンカサ」では厳選したアラックとブラムを仕入れて、それを使ったいろいろなカクテルを提案。アラックとブラムの新しい味わいをたくさんの人に知っていただきたい、と新メニューを続々登場させています。
そのひとつが「フレーバーアラック」。コーヒ豆やバリのトロピカルフルーツをアラックに漬け込んだ、自家製リキュールです。そのままではちょっとキツい、と感じられるなら、ソーダで割って。さわやかなバリの味。アラックのクセの強さが漬け込んだコーヒー豆やフルーツと溶け合って、これはまたびっくりするような新しい味わいに変わっています。アラックのほかには、バリではすっかりおなじみのバリ産ワイン「ハッテンワイン」もいただけます。
そんなお酒と一緒に長い夜を楽しむのなら、おつまみにはオニオントーストやピザトサーモンバゲットサンド、ルッコラとトマトのサラダ。そして各種ピザ。ぱりぱりの薄皮、クリスピーなピザはお酒のお供に最適です。これからはウブドの夜も「アンカサ」で「オトナの時間」が楽しめます。
ちょっとお腹が空いたと思ったらパスタメニューもあります。実はここ「アンカサ」のパスタは、バリ島ナビ、個人的には「ウブドいちおし」です。とろり生クリームソースとかりかりのベーコンに黒胡椒風味が絶妙なカルボナーラスパゲティはどこかの雑誌やガイドブックがバリ在住者のお気に入りフードランキングをすると必ずベストスリー入りするという知る人ぞ知る有名メニュー。明太子スパゲティ、明太子カルボナーラなど、ここ、バリではめったに食べられない、でも、日本人には嬉しいスパゲティのラインナップ。「アンカサ」に来たら、これもはずせません。本当においしいものがいっぱいで、迷ってしまうカフェなのです。
さて、こんなふうに魅力がいっぱいのカフェ「アンカサ」。店主のカデさんにお話を伺いました。
「カフェアンカサがウブドに店を開いて10年以上になりました。最初は王宮の北に今よりも小さな構えで店をやっていたのですが、今年(2009年)からここモンキーフォレスト通りなかほどにある今の場所に移転しました。いっそうウブド観光の途中で立ち寄りやすい立地になったと思います。これからもたくさんのお客さまに愛されるお店でありたいと思っています。
カフェアンカサは、お客さまにくつろいでいただく「場所」を作るということにも興味を持っています。おいしいフードやドリンクは当然として、カフェというのはそれだけでなく、場所、空間の提供ということも大切なことだと思うのです。お客さまが心からくつろいで思い思いの時間を過ごせるように、私たちが提供できることはなにか、ということをいつも考えています。
たとえば今すでにアンカサはフリーwifiでパソコンを持ち込めばネットに接続できます。それから、お店の一角を利用して「ボックスショップ」ということもやっています。これは「店舗を構えるまでもないけれどこんなものをつくってみた」という方たちへの「場所、空間の提供」アンカサでは販売のお手伝いもしています。2階は「パーティースペース」として貸し出すこともでき、30人さまくらいまでの貸切パーティーの利用も可能です。以前の店舗の時に不定期でやっていたライブは、これからも機会があればやっていきたいと思っています。
もちろん、ドリンクとフードは今までにも増してみなさまに満足していただけるものを提供できるようにしていきたいと思います。近く日替わりランチをスタートします。有機玄米を使って、できうるかぎりのオーガニックメニューで、からだに優しい料理を今研究中ですので楽しみにしていてください。そうそう、入り口に大きなカウンターを外に向けて作ったのですが、これは「ドリンクテイクアウト」用なんです。これからもお客さまに喜んでいただける「カフェアンカサ」でありたいと思います。」
とのこと。
すっかり女将の貫禄もついてきた店主のカデさんは忙しそうにカウンターの向こうへ消えていきました。
新しくなった「カフェアンカサ」は、まだまだ進化を続けます。昼も夜も、思い思いの楽しみ方で、「アンカサ」で心地よい時間を過ごしましょう。以上、バリ島ナビでした。