インドネシアのファストフードの決定版、見て選べるからローカルフード初心者も安心のパダン料理。
こんにちは!バリ島ナビです。
バリも何度か通って、ほとんどのレストランも行き尽くしたあたりから、興味が湧いてくるのはローカルフードではないでしょうか。バリでは観光客の行くようなレストランというのは完全に旅行者向けの味付け。バリの人が毎日食べているようなものとは似て非なるもの。地元の人たちがどんなものを毎日食べているのか、だんだん気になってきませんか?
しかしこの「ローカルフード」なるもの。いざ、体験してみようと思っても、それではどこへ行けばいいのか。ここではたと迷ってしまいます。ローカルでいつも賑わっているお店、「ワルン」と呼ばれる食堂が多いですが、そういったところは旅行者がふらっと気軽に入りにくい雰囲気があるのです。お店に入っても従業員が笑顔で「いらっしゃい!」と挨拶してくれるでもなし、メニューを手渡してくれるでもなし。それどころか、なかなか注文を聞きに来てくれなかったり、日本語はもちろん、英語さえもロクに通じなかったり。覚悟を決めて店に入ったはいいけれど、いたたまれない場違いな雰囲気に包まれてしまったり。
まあ、そんなのは実際にははじめのうちだけで、もともとフレンドリーなバリの人たちですから、1度入ってしまえば二度目からは常連さん。そんなに真剣に心配する必要もないのですけれど、それでも最初はちょっと勇気を奮い起こさなければいけなかったりします。
今日ご紹介する「パダン料理」のお店。これは、そんな「ローカルフード初心者」におススメ。いたたまれない雰囲気に陥らずに、ローカルフード初体験するにはまさにうってつけのお店といえます。
パダン料理というのは、インドネシア、スマトラ島パダン地方の料理のこと。本格的なパダン料理のお店では、テーブルに着くとありとあらゆる料理の小皿をテーブルの上に並べ、その中から実際に自分が手をつけたものの分だけお金を払う、という形式をとっていますが、ウブドのパダン料理屋さんはもっと簡単。お店の正面に、通りに面してこれみよがしに並べられた料理を盛った洗面器、のような金たらい。このショーケースのところでお店の人に、「これとこれ」と好きな料理を選べば、それをお皿に載せてくれます。実際にお料理を目で見て選ぶことが出来るから、注文の難しさも言葉の心配もクリアです。
とはいうものの、パダン料理の注文にしかたにも、ちょっとしたルール、規則がありますので、まずはそれをご説明しましょう。
まずお店の人が聞いてくるのは、「店で食べるか」「持ち帰りか」ということ。はじめてのローカルフード体験で、ちょっとドキドキしているならば、「持ち帰り」にするのもいいでしょう。たいていのパダン料理店はイスラム教徒がやっているお店なのでアルコール類を置いてありません。持ち帰った料理をホテルの部屋で冷たく冷やしたビールと一緒にいただくというのも、魅力的ですね。店で食べる場合は「マカン ディ シニ(ここで食べます)」持ち帰りの場合は「ブンクス(包んでください)」とお店の人に言います。
次はいよいよ料理の注文。まずは「ご飯」と、付け合せの「野菜」、サラサラのカレースープそしてサンバル(唐辛子ペースト)が皿、もしくは持ち帰り仕様の包み紙に盛られます。これが「基本セット」です。付け合せの野菜は、キヤッサバの葉を茹でたもの、ジャックフルーツの煮込み、キャベツのスープ煮など、その時によっていろいろ。この中から普通は一種類を選びます。カレースープやサンバルは、もちろん好みによって入れても入れなくてもオーケー。辛い味が苦手な人や、必要ない時は「ノー」と言って断りましょう。何も言わなければスプーンいっぱいの唐辛子ペーストを入れてくれます。
さて、ここまで来たらいよいよおかずのチョイスとなります。ショーケースに並ぶおかずのあれこれの中から好きなものを選んで示せばオーケー。それではバリナビ独断と偏見で、パダンのおススメおかずをご紹介しましょう。
まずはアヤムバカール、鶏の炭火焼。こんがりと焼き目の付いた滋味あふれる鶏。香ばしい焦げ目と、中はふっくら、鶏そのものの味わい深さを堪能することができます。お次はツナのカレー煮込み。柔らかくて新鮮な、とれたてインド洋のまぐろををカレーソースでさっと煮込んであります。次はいかのカレー煮込み。バリのいかはちょっと小ぶりですが、ぷりぷりの歯ごたえにびっくりします。胴の中には足がびっちりと詰め込まれ、これもじゅうぶん満足の一品。そしてパダンならではのおかずといえば、ルンダンサビ、牛肉の煮込みです。牛肉を食べる習慣があまりないバリ島では珍しいおかず。ショウケースでは牛肉が隠れるほどにたっぷりと、ココナッツミルク風味のソースで覆い隠されています。この牛肉のうまみたっぷりのスパイシーなソースが、白いご飯にぴったりなのです。
せっかくだから、変わったものが食べたい!とおっしゃるならば、おススメするのはコレです。田うなぎのから揚げ。一瞬ぎょっとする風体ながら、にんにくの風味を利かせてかりっと揚げた田うなぎ(どじょう)は、唐辛子ソースをちょっとつけていただくと、ビールのお供に最高!なのです。
これらのおかずをバリの人たちは普通、肉か魚ならば1品だけ、豆腐や野菜もののおかずならば2品くらい選んで入れてもらっています。もちろん肉も魚も豆腐も野菜も、選んで構いませんがそうなるとお値段がちょっと高めになってしまいます。以前日本人旅行者らしき女の子がふたり、パダンのお会計の時に「納得いかない」という顔でお金を払っていたのを目撃したことがあります。ローカルフード=安い、という図式があてはまらなかった会計だったのでしょう。でも、肉も魚も豆腐も野菜も頼んでしまったら、いくらローカルパダン料理屋さんでも、ちょっとしたレストラン並のお値段にはなってしまいますので、どうぞそれは覚えておいてくださいね。
パダン料理のお店はウブドには何軒もありますが、旅行者が入りやすいのは、ウブド大通りのネカギャラリー向かいにある「プトゥリ ミナン」でしょう。ピンク色の壁と、通りに面したショウケースに並べられたお料理が目印。パダン料理のお店は、たいていが夜遅くまで営業していますので、夜の早いウブドではご飯を食べ損ねた時の力強い味方。真夜中にパダン料理屋さんへ行けば、お腹を空かせたバリ人や在住の外国人で賑わっています。実はバリナビも、はじめてのロカールフード体験は、この「パダン料理」でした。ジャックフルーツの煮込みがいったいナンの煮込みだかわからなくて、恐る恐る口に運んだものです。見たことのない食材、そして食べたことのない味。ぴりっとスパイシー、そしてココナッツミルクのほんのり優しい甘み、奥深い味わいをもつパダン料理で、まずはローカルフード入門、あなたも体験してみませんか?
以上、バリ島ナビでした。