チャッ・リノ・グループ 「ケチャッ・リノ・ダンス」

(創作ケチャ舞踊)Cak Rina Dance

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舞踊家のリノ氏を中心に、満月と新月にアルマ美術館で行われる創作ケチャ。火が飛び交う舞台は迫力もの。

こんにちは!バリ島ナビです。
バリ芸能として紹介されるケチャッは、集団の男声合唱に合わせて、美しいお姫様が踊り、魔物や白い猿がラーマヤナ劇を繰り広げていくものですが、そんな中にあって独自のストーリーを組み入れたステージで異彩を放っているのが「チャッ・リノ・グループ」による新月と満月のケチャッ・ダンス。その迫力のステージは、火の塊が飛び交い、演者が走り回って熱演する「パワー全開!」といった表現が似合う、創作ケチャです。
アルマ美術館の野外ステージ会場へは、プンゴセカン通りにあるカフェ・アルマ側から入りましょう。

月に2回の公演ということで、希少価値があるためか、このケチャッ・リノは、至る所で宣伝しています。今(2月)は観光のオフ・シーズンであるものの、それでも人気がある事を見越して一時間半前に会場へ行ってみましたが、残念ながら座席は三列目まで予約で埋まっていました。アルマ美術館系列のホテルに泊まる御客さんと、併設レストランでディナーをするお客さんが最優先だそうです。旅行シーズンなどの混む時期に、どうしても前の席をキープしたい方は、前もってディナー予約を入れて席の予約をアルマ美術館に頼むことをオススメします。
松明用の舞台装置が置いてあるのみ

松明用の舞台装置が置いてあるのみ

1時間以上前から会場入りの演者達

1時間以上前から会場入りの演者達

ケチャッは人間の肉声のみで行われます。楽器は一切使いませんから、舞台には松明用の舞台装置がポツンと置いてあるだけのシンプルさです。
ナビの到着とほぼ同時、かなり早い時間から会場へ足を運んでいるグループの方々が多数おられました。「ラッキーだね~。リノ氏は外国に行ってて、本人不在の公演が続いていたけど、数日前に帰ってきたばかりだから、今夜は出るよ」「今夜はテレビの撮影もあるから、ビッチリと練習があったばかり。期待してイイヨ」と、色々な情報を話してくれました。撮影の打ち合わせがあり、リノ氏御本人も1時間前には会場入りです。上の写真に写っている温厚そうなおじさん(手前)、この後のステージでは豹変いたします。乞うご期待!

公演プログラム 「スバリとスグリワの戦い」

通常のケチャッは、インドのラーマヤナ叙事詩から、シータ姫の救出劇が演じられますが、ここのグループでは同じラーマヤナでも、趣向を変えて「スバリとスグリワの戦い」から題材を取ったストーリーが展開されます。演出の方も、1974年にジャワ出身の振付師サルドノ・クスモ氏によって創作された現代舞踊色の強いケチャッが楽しめます。

「プン!チャッ!チャッ!チャッ!」の声とともに、松明を持った演者が舞台へ入場してきます。中央の門だけで無く、左右からも続々と現れて、松明の炎が幻想的です。ケチャッの円陣の外側を、子供たちが松明を持って廻ります。
猿の兄弟のスバリとスグリワは、インドラ神から「マヘサ・スラ」という洞窟に住む怪物を退治してくれるように頼まれます。成功の褒美はタラ女神を妻とできる、というものでした。
時々、松明の油が手の方に落ちて来る

時々、松明の油が手の方に落ちて来る

リノ氏登場

リノ氏登場

兄のスバリが洞窟内へ入ることとなり、弟のスグリワに「洞窟から流れて来るこの川に、赤い血が混ざったら怪物退治に成功したという証拠だが、白い血だったら自分が死んだと思って洞窟を封鎖するよう」と言い残します。
怪物「マヘサ・スラ」を殺すことが出来たスバリですが、自分も傷を負ってしまいました。
川から赤と白の両方の血が流れるのを見たスグリワは、怪物と兄の両方が死んだと勘違いして、洞窟の入り口を塞ぎます。
そして、インドラ神の元へ戻って報告をし、タラ女神を約束の褒美として妻にします。
先程の温厚おじさんがスバリ役

先程の温厚おじさんがスバリ役

一方、やっとの思いで洞窟から抜け出したスバリは、スグリワの姿が無いのに驚き、さらにタラ女神を妻にしているのを知り「兄の自分をわざと生き埋めにして弟は手柄を自分のものにした」と思い込み、激怒して戦いを挑みます。
兄弟の戦いが始まります 兄弟の戦いが始まります

兄弟の戦いが始まります

客席にまで落ちて来る火の塊 客席にまで落ちて来る火の塊

客席にまで落ちて来る火の塊

この戦いが、ケチャッ・リノの売り物である「火の塊が飛び交う」迫力のシーンです。油に浸した椰子ガラに火がつけられ、メンバーによって足で蹴ったり、素手で放り投げられたりします。ゴーッという音を立てながら、時々火の塊が舞台を飛び越して、観客の近くに落ちて来ることも!ステージ上で燃える炎の熱は、後方席のナビでも感じられるくらいで、前のお客さん、怖くなったのか後ろの席に逃げ込む方もおられました。
お互いを探し廻ります

お互いを探し廻ります

スグリワは戦いに負けそうになり、森へ逃げ込んで隠れます。
スグリワと間違われ、戦わされるお客さん

スグリワと間違われ、戦わされるお客さん

瀕死のスグリワ

瀕死のスグリワ

スグリワの復活

スグリワの復活

森へ逃げたスグリワは、シータを探しているラーマ王子に出会います。ラーマ王子の協力を得て、スグリワはスバリを打ち破ることができました。
騎馬戦により戦いが表現されます

騎馬戦により戦いが表現されます

スバリの死

スバリの死


終了後、係の方が挨拶をした後、リノ氏とアルマ美術館館長のアグン・ライ氏が登場。お客さんと記念撮影を行い、テレビのインタビューを受けておられました。
おじさん!

おじさん!

館長アグン・ライ氏も登場

館長アグン・ライ氏も登場

お、おじさん!

お、おじさん!

そのテレビ・クルーなのですが、仕事柄、上演中は舞台に上がったり、横切ったり、客席を撮ったり忙しく動き回っていおられたものの、なんだか通常の撮影隊と違って、邪魔になって、気になって気になって仕方なかったのです。何故なのかが、上の写真を見てやっと判りました。「目立ちすぎ!」
舞台はケチャということで、炎を生かした暗い照明なのですが、撮影のおじさんってば、全身白っぽい服装で、ライトのまん前に立ちっぱなしだから、「スポットライトに照らされる主役」みたいに、一人だけ舞台に浮かび上がって目立ってる・・・迫力の映像を撮るお仕事なのは判りますが、黒い服着ましょう!

さて、リノ氏が素晴らしいのは当然ですが、実は「スバリ役」のおじさんに痛く感動したナビ。火で顔を洗ったり、葉っぱ(花びら?)を食べたりの体当たり演技は、練習だけで出来るものではないし、年齢も多少いっておられるのに、走り回り、飛び回り、猿としか思えない奇声をあげる迫真の演技の凄さといったら!
おじさんに「バグース!」の一言が言いたくて探したのですが、見つからない。帰ったのかな?とスタッフに尋ねたら、すぐ脇の椅子にポツンと座っておられました。顔が炭で黒く煤けて、見えなかったんです・・・握手をしてもらいましたが、泳いだ後みたいにグッショリと手が濡れていて、ものすごい汗をかいているのを知り、再び感動しました。

バリ舞踊の普通のケチャッを見たことがある方も、そうでない方も、一見の価値がある公演ですので、バリ島旅行中に満月か新月の日があったら、ぜひ足を運んでみてくださいね。

以上、バリ島ナビでした。

記事登録日:2010-04-20

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スポット登録日:2009-04-03

スポット更新日:2010-11-19

利用日
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