大勢の客で賑わうウブド中心部のサレン・アグン宮殿(ウブド王宮)で行われるバリ・ダンス公演。
こんにちは!バリ島ナビです。
ウブドの中心部にある「サレン・アグン宮殿(ウブド王宮)」では、楽団を変更して毎日公演が行われています。場所柄、演奏の音を聞いて入ってくるウォークイン・ゲストが多いので、ツーリストの集客率がウブド内では一番といわれるとても賑やかな公演会場です。ビナ・ルマジャは毎週土曜日に、オーソドックスなバリ舞踊の公演を行っています。また、火曜日にはラーマヤーナバレーの公演も行っている、古くから活動しているグループです。
ウブド周辺には数々の王宮がありますが、ビナ・ルマジャの会場となっているウブド王宮は、立地が観光客の最も集まるエリアにあり、昼間は王宮内を観光用に開放していることもあって、ウブドではもっとも知名度のある王宮です。レゴン舞踊は古い時代には王宮内で行われるものであったため、ここ、ウブド王宮も例外ではなく、ダンサーと楽団の養成を現在まで存続し、週に何度か、その練習風景を見ることもできます。毎日行われている定期公演は、ダンサーの顔ぶれが同じなので、同じ楽団が演奏していると思っていた方もいらっしゃいますが、演奏する楽団も、プログラム内容も変更されているので、曜日ごとに違う公演を観ることができます。
会場へ着くと、まず売り子さんの「ドリンク?」攻撃にあいます。ここでは珍しく「虫よけクリーム」まで売っているおばあさんもいます。待ち時間が長い時は、飲み物でも買って、のんびりと待ちましょう。
客席は舞台を囲む形で椅子が置いてあり、舞台脇の建物にも座れます。また、椅子よりも手前にカーペットが敷いてあり、ここにも座ることができます。今回バリ島ナビが座った最前列の椅子席は、カーペットに座るお客さんの頭が邪魔になって、ダンサーの足元や楽団の様子が少々見づらくなりました。真横になりますが、建物の席だと、高い位置になるので、足元まで見渡せます。
公演プログラム
ステージのオープニング曲が静かに奏でられます。
プログラムによれば、古代カウィ語で「花の雨」を意味するダンスだそうです。6人の女性がにこやかに踊ります。
美しい女性陣の歓迎のダンスが終わると、いきなり激しい曲が始まります。赤い顔のおもしろい表情をした仮面を着けて、ダンサーが登場します。トペン・クラスは荒々しい動きが特徴の仮面舞踊です。
数々のレゴン舞踊の中から、一番有名なラッサム王にまつわる物語が踊られます。最初に宮廷に仕えるチョンドン(侍女)が踊ります。レゴン・クラトンは、少女を起用するグループがほとんどですが、このビナ・ルマジャでは大人の女性が、しっかりと落ち着いたチョンドン舞踊を踊っていました。
レゴンが入場して踊りを披露し、チョンドンが退場すると物語が始まります。左手がラッサム王、右手がランケサリ王女役になります。
婚約者が既にいたランケサリ王女をさらったラッサム王は、一生懸命求愛をするのですが、拒否され続けます。怒ったラッサム王はランケサリ王女の国へ戦いを申し立てます。そこへ一羽のガルーダが舞い降りて、ラッサム王へ戦場へ行かないよう警告しますが、ラッサム王は死を覚悟で、そのまま出陣します。
座った姿勢で踊るという、変わった舞踊です。プログラムの解説では、「若い王子の役で踊り、思春期の心のうつろいや、はじけるような若さ、勇気を表現します」と書かれており、若い少年ダンサーが登場してきました。
可愛らしい、少女達が、両手にチョウチョウの羽を持って現れます。この公演の一番のおすすめです。
舞踊 オレッグ・タムリリンガン(カップルのダンス)
男性と女性がカップルで踊るマルハナ蜂のダンスです。プログラムの解説では、「ひとりが美しい花を演じ、そしてもう一人がその花の魅力にひかれてやってくるオスのハチを演じます」とありました。
太鼓は皮が濡れると音が変わるので心配そう。
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雨で観客が軒下に避難し、前方がガラガラ。
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この時、雨が。満席だったカーペットに座る客も、屋根の下に避難。バリ島ナビも、すぐ近くの木の下に駆け込んで、鑑賞を続けました。オレッグはグループ内で一番のキレイどころが踊ります。演奏者達も、ダンサーが気になるのか、なんとなくダンサーをチラチラと伺いながら演奏しているような感じがしませんか?
雨はどんどん激しくなり、ダンスの中盤をカットして、演奏が続きます。
終わってから会場に残っていたダンサーが笑いながら教えてくれたのですが、男性役は、自分の出番まで時間があるからと余裕で座っていたら、突然、曲の中盤がカットされて、男性の入場するパートが演奏されはじめたので、大慌てでステージに飛び出したそうです。衣装のグルンガン(冠)をかぶる余裕がなく、頭に載せるだけで、かなり冠が浮いたまま走っていったのだとか・・・全く気が付きませんでした。写真で見た限りでは、きれいに冠が被れているので、きっと踊りながら少しずつ上手に直したのでしょう。オレッグの男性役は、振り付けの中に頻繁に「ナタブ・グルンガン」という冠を触りながら踊る動きが入ります。踊りながら、鏡無しでキレイに衣装を直すなんて、さすがです。
長い爪をつけたジャウックは、魔物のキャラクターなのですが、お茶目です。こちらも残念ながら雨のため、半分以上カット。しかし、ダンサーも演奏者も、即興で曲の長さを調節できるなんて・・・バリ人って、すごいですね。
楽曲 エンディング(インストゥルメンタル)
以上でプログラムの演目が終了し、短いエンディングの曲を演奏してビナ・ルマジャの公演は終了となります。
この日は、曇ってはいたものの、雨の気配が無かったため、王宮での公演を通常通り行ったようです。公演の前半で突然の雨が降り出した場合、演奏を強行せずに、ガムランを運んで隣のワンティラン(集会場)に演奏者とお客さんが大移動をする事もあるそうです。残すところ2曲だったため、今回は踊りを短縮して、早めに切り上げられてしまったのですが、御客さんは途中から空ばかり見あげて、踊っているダンサーさんが、少々かわいそうでした。皆さんも、雨季のバリ島を旅行される場合は、ご注意ください。(雨具もお忘れなく!)
以上、バリ島ナビでした。