ムルカット特集

バリの聖なる水で沐浴を体験しよう!

アパ・カバール、バリ島ナビです!皆さん、『ムルカット』って知っていますか?ムルカットとは、日本語にすると『沐浴』のこと。バリ・ヒンドゥー教では心身の浄化のために行われるんですよ。ナビもムルカットが大好き!一時期は毎月満月の夜に一度とそれ以外にも気が向いたときにフラッとムルカットに出かけていました。スピリチュアルな感覚は全くないのですが、聖なる水で清める行為は、それだけでもと~っても気持ちがいい!ムルカットは外国人旅行者であっても体験することが可能です。今日はそんなムルカットについて、いろいろとご紹介してみたいと思いますよ~。

ムルカットとは?

ムルカットは、カウィ語の『ルカット』が語源となる、人間の精神と肉体の浄化、そして神聖化のために行われる行為の一つです。『マヌサ・ヤドニャ』と言われるバリ・ヒンドゥー教が一生の内に行う通過儀礼の一つと言うこともできるのですが、儀式として行われるものと、個人的に行われる沐浴との二つに分けることができます。

ムルカットの目的

ムルカットは様々な目的のために行われます。心身の浄化、神聖なパワーをアップさせるため、ネガティブなエネルギーを排出するため、カルマの浄化、病気の治療、と言ったようにバリではいろんな場面でムルカットを行うのですが、そういった理由抜きにしても、バリの人々はムルカットが大好き!家族が集まった時や友達と出掛ける際には『ムルカット行こうよ!』と気軽に出かけるんですよ。

ムルカットのできる場所
ムルカットが行える場所はいろいろとあります。水が湧き出る場所、川、海、寺院、僧侶宅と、その時の目的によってムルカットを行う場所は変わるのですが、気軽にムルカットを行う場合は、聖水の湧き出場所や、お祭りなどの行われていない時期の聖水を祀る寺院などが一般的。また、一番神聖なムルカットは、高僧に執り行ってもらうムルカットと言われています。

ムルカットに適した日
基本的にはいつでもムルカットを行うことができますが、満月や新月はムルカットに訪れる人が多くいます。特に満月の日は、月のエネルギーが最高潮に満ちた夜なので、この日は月のエネルギーをチャージするために、聖水の寺院などは長い行列ができるほど大勢の人で賑わいます。

『バニュ・ピナルー』の日には芸術・学問の神様の恩恵授かるために、早朝ムルカットをします。
また、バリ暦の誕生日の儀式の際にムルカットを行うことも。

ムルカットに必要なもの
・バリの正装
上半身はTシャツのようなものでも大丈夫ですが、サルン(腰巻き)とスレンダン(帯)は必須。また、寺院内でのムルカットの場合は、帰りの分のサルンとスレンダンも必要となります。

※男性はムルカットの際に上半身裸になります。
※髪を結んでいる人は、ゴムやピンなども外します。
※生理中の女性はムルカットは行えません。逆に生理後や、病気が治り退院した後などに心身を清める目的でムルカットを行うこともあります。

・タオル
本来バリの人々はムルカットの後にタオルで体を拭いたりせずに放置します。とはいえ、ずぶ濡れのままでは困る場合にはタオルを使っても問題ありません。必要があれば持参しましょう。

・お供え物
大きな儀式の場合はそれのためのお供え物が必要となりますが、個人的にお寺にムルカットに行く場合には『プジャティ』と呼ばれるお供え物が用意できれば一番いいのですが、『チャナン・サリ』や『クワンゲン』に、お線香だけでも大丈夫です。ムルカット場の近くではお供え物が売られていることもよくありますし、もし用意できなくても、気持ちが一番大切です!
プジャティ

プジャティ

チャナン・サリ

チャナン・サリ

クワンゲン

クワンゲン

ティルタ・ウンプル寺院

さぁ、それではいくつかのムルカット・スポットを紹介していきましょう。まず最初はやはりタンパッシリンの『ティルタ・ウンプル寺院』。すでにバリ島に来たことがある人ならば、だいたい知っているんじゃないかな?というくらいに観光スポットとしてもとても美しくて人気のこの寺院は『聖水の寺院』と呼ばれる、寺院内に聖水が湧き出るムルカットの人気スポットなのです。
聖水の湧き出る泉には主と言われる幻の魚が棲んでいるとか??

聖水の湧き出る泉には主と言われる幻の魚が棲んでいるとか??

ティルタ・ウンプル寺院の由来には、インドラ神とマヤデナワ王の言い伝えがあります。その昔、マヤデナワという王様がいましたが、非常に傲慢な性格で、自分を神格化していました。
そんなマヤデナワ王の様子を見たインドラ神は、彼を破滅させるために自分の家臣を送ります。それに気づいたマヤデナワ王は森へ逃げたものの、インドラ神の家臣はどんどん距離を縮め、ついに捕えられてしまうというところで、マヤデナワ王は毒の入った湧水を作り出し、それを飲んだインドラ神の家臣は殺されてしまいます。
それを知ったインドラ神は、解毒作用のある湧水を作り出したのですが、それが現在のティルタ・ウンプル寺院と言われているのです。
そのような言い伝えもあり、ティルタ・ウンプル寺院には病気を治すために訪れる人が多いんですよ。
ムルカットの前にまずは祈りを捧げてから入水します

ムルカットの前にまずは祈りを捧げてから入水します

それぞれの噴水に順に打たれていきます

それぞれの噴水に順に打たれていきます

グヌン・カウィ・スバトゥ

バリには『グヌン・カウィ』と名の付く寺院が3つあるのですが、その中の一つがテガラランのスバトゥ村にある『グヌン・カウィ・スバトゥ』。非常に小さな寺院で、一般的な観光地としてはあまり旅行者には知られていませんが、お寺と泉の美しさがとても素晴らしい寺院でもあります。
この寺院は水の神様であるウィシュヌ神を祀る寺院で、先に紹介したマヤデナワ王の話が残ると言われています。その昔神を信じないマナデナワ王が神との戦いでブサキ寺院から追いつめられてやってきた場所で、この村の住人達の神に対する信心の深さを目の当たりにして聖水を与えたという伝説がありますが、正確な由来などは不明だそうです。
『グヌン・カウィ・スバトゥ』には、小さな沐浴場が一つあります。特筆すべきは、その湧き水の透明度が高く、非常に神聖な空気の漂う寺院というところ。また、寺院も沐浴場もコンパクトなため、足の悪い方やご高齢の方にも利用しやすい沐浴場です。
沐浴の前に、まずはお祈りから

沐浴の前に、まずはお祈りから

左の噴水から順番に

左の噴水から順番に

スバトゥの沐浴場

ここ何年かでバリ人にも旅行者にも人気が出てきたのが、『スバトゥの沐浴場』。グヌン・カウィ・スバトゥからさらに村の奥に進んだ場所にあります。満月、新月、カジェンクリウォンなどの日にムルカットに訪れるバリの人々で。スバトゥの沐浴場は、ブラックマジックにかけられた人がここで沐浴をするとマジックが抜けると言われていて、この水に足 を入れるとその人のまわりだけ白くなると信じられている聖水の沐浴場なんです。
スバトゥの沐浴場へは結構な段数の階段を下りて行きます。緑が清々しく、行きはとっても気持ちがいいのですが、帰りは急な上り階段のため、ナビは息が切れてしまいます。
お水はビックリするくらい冷たくて、勢いもすごいのですが、一旦水流に打たれるとポカ ポカしてきて、心も体も一瞬でスッキリとしたことに気が付くくらいパワフルな場所です。
階段を下りながら進みます

階段を下りながら進みます

まずは手前の寺院でお祈りから

まずは手前の寺院でお祈りから

入水したら、この祭壇で更にお祈りをしてからムルカット

入水したら、この祭壇で更にお祈りをしてからムルカット

まずは顔を向けて入り

まずは顔を向けて入り

その後背中をつけて。これを繰り返します

その後背中をつけて。これを繰り返します

ムルカットの後は、この祭壇でお祈りを

ムルカットの後は、この祭壇でお祈りを

スダマラ

このところ有名になりつつあるのが、バンリのティルタ・スダマラ寺院の沐浴場です。川のすぐ側の壁面から出る9つのメインの噴水と2つの噴水はとても趣があり、フォトジェニックなスポットでもあるんですよ。
スダマラは、ネガティブなエネルギーを洗い流すことと、病気を治すことで知られていますが、効果はそれだけではなく、高い場所から吹き出す噴水の水を体に受けることで、直接的なテラピー効果もあると言われています。
スダマラでのムルカットの順番は、まずは川に入って滝と反対側の岸にある祭壇でお祈りをします。そしてお坊さんのいる場所でさらにお祈りをしてから川に入り、身を清めます。お坊さんのいる場所からさらに奥に入った場所にある小さな噴水へ行き、次にお坊さんの場所の下部の水流が混じり合うところへ。その後9つの滝を右からまわり、最後に小さな2つの滝でムルカットを。ムルカットが終わったら、お坊様の場所でお祈りをして、聖水をいただきます。

高僧によるムルカット

さて、冒頭で少し触れたように、バリ・ヒンドゥー教では、滝や寺院で行うムルカットより、一番神聖なムルカットは高僧により執り行ってもらうものだと言われています。バリの人々は、通過儀礼の際や、もしくはムルカットだけ単独で行う場合でも、とても大切な日はグリヨと呼ばれる高僧の住む邸宅へ足を運びムルカットを行います。
バリ・ヒンドゥー教の高僧は、グリヨで儀式を行うこともありますが、多くの場合儀式を行う村へ出向きます。祭日に当たる日には朝早くから深夜まで各地の儀式を回ることも。外国人のナビの個人的な気持ちとしては、バリの人々の儀式を優先していただくべきだということ。ナビがムルカットをお願いしたために、バリの人々が儀式の依頼をしても断ることがないように、バリの友人たちがムルカットや儀式を行う場合に同行させてもらうようにしています。
大勢でグリヨを訪れてムルカットをすることも

大勢でグリヨを訪れてムルカットをすることも

こんなにたくさんのお供え物!

こんなにたくさんのお供え物!



イダ・ルシ・アリット

高僧の中でも、外国人にも知名度があり、ムルカットを体験することができるのがバンリのシワ・ブッダの高僧であるイダ・ルシ・アリットです。独身女性の高僧を表す『カニヨ』を付けて、イダ・ルシ・カニヨと呼ばれることも。
イダ・ルシ・アリットはまだ20代の女性高僧で、英語が堪能なことだけでなく、彼女の特異な経歴により、外国人旅行者もそうですが、多くのバリ人からも特別な存在として敬意を払われる高僧なのです。
イダ・ルシ・アリットが19歳の時に寺院で瞑想を行っていると、突然トランス状態に入りました。それがきっかけとなり瞑想を行うようになり5、6回を数えた頃、再びトランス状態となり、その際に高僧となる儀式を行うようにとの声が聞こえました。突然の事態に戸惑いながらも瞑想を続ける日々を送っていると、さらにトランス状態に入り、イダ・ルシ・アリットは命を落としてしまいます。そんなイダ・ルシ・アリットを見た家族はパニックとなり、神様に『彼女が生き返るのならば、必ず高僧になる儀式を執り行います』と祈ると、死んでしまったはずのイダ・ルシ・アリットは生き返ったのです。このような経緯で2007年にイダ・ルシ・アリットとして高僧になりました。
そんな彼女の不思議な体験はバリ中に広がり、多くの人がバンリのグリヨに訪れるようになっています。その中には外国人も多くいるのですが、ムルカットが目的でグリヨを訪れる外国人もたくさんいるんですよ。
イダ・ルシ・アリットのムルカットは、シワ・ブッダのマントラと共に大量の聖水をかけるのですが、大量の水とともに心身の汚れが流されるような爽快感が。バリで高僧によるムルカットを体験してみたいという人は、イダ・ルシ・アリットを訪ねてみては。忙しい日々を送る高僧なので、予約は忘れずに。また、急に儀式が入ってしまうこともあるのでご注意を。

ムルカットの注意点

・ムルカットを行う場所は神聖な場所です。下着を含む着替え等は離れた場所に保管してください。今回の特集で紹介したスポットでは、グヌン・カウィ・スバトゥ以外は更衣室またはロッカーが設置されています。
・ムルカット中は貴重品の管理ができない場合も多くあります。更衣室はあっても鍵付きのロッカーが設置されていない場所も。なるべく必要のない貴重品は持ち歩かない方がいいでしょう。

ナビも大好きなムルカット。一言にムルカットと言っても、たくさんの場所や目的があり、今回の特集では全てをご紹介することができないのが残念…。せっかくバリに来たのなら、一度は是非バリ・ヒンドゥー教のやり方に則ったムルカットを体験してみては。気分爽快間違いなし!ですよ。以上バリ島ナビでした、サンパイ・ジュンパ~!


上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2018-06-15

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